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高機能バイオプラスチック

携帯電話やPCの筐体に利用可能な植物素材の高機能バイオプラスチック研究事例[ 03:18 ]

プロジェクト概要

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ご意見・ご感想

音声テキスト

NECは企業の社会的責任として、環境負荷の低減に貢献することを目指しています。
そのNECが注目したのは、世界の石油生産の20%を消費するプラスチックなどの石油系素材です。

THE CHALLENGE

茨城県筑波にあるNECの研究所では、この問題に対処するため、植物から作られる新素材、バイオプラスチックの開発に取り組んでいます。

まず研究対象となったのは、トウモロコシでした。
トウモロコシは生育中、大気中の二酸化炭素を吸収します。開発されたプラスチックは再生もリサイクルも可能ですが、電子製品には使えません。耐熱性が低く、外力にも弱く壊れやすいのです。

位地主席研究員の研究チームは、この課題を解決するバイオプラスチックの開発を目指しました。

THE SOLUTION

研究チームは、ケナフという驚くべき植物と出会いました。

NEC基礎・環境研究所 主席研究員 位地 正年:
植物由来の材料というところにこだわったために、新しい添加剤を色々開発したり、選択したりしなければならなかったので、やはりかなりの苦労がありました。

成長の早いケナフは 種まきから収穫までわずか6ヶ月。
しかも、二酸化炭素の吸収速度が、通常の樹木の3倍から9倍です。

THE TECHNOLOGY

ケナフの繊維を工夫して加えることで、バイオプラスチックは、環境に優しいだけでなく、素晴らしい特性を備えた高機能バイオプラスチックへと生まれ変わりました。

NEC基礎・環境研究所 主席研究員 位地 正年:
例えば、強度や耐熱性が元のバイオプラスチックの1.7倍ぐらいにケナフ繊維を入れるとなるんですね。これは我々も非常に驚いたわけです。

さらに研究チームは、形状記憶という特性を持つバイオプラスチックも開発しました。
熱と力を加えると、どのような形にも変形し、再び熱を加えれば、元の形に戻ります。高温で溶けるため、リサイクルも可能です。

NEC基礎・環境研究所 主席研究員 位地 正年:
リサイクルと形状記憶という二つの機能を持つことをバイオプラスチックで初めて実現できた、ここが新しいところです。

THE BENEFITS

NTTドコモから発売されたエコ携帯はNECのケナフ繊維強化バイオプラスチックを使用して商品化されました。
2010年までに、NECの電子製品に使うプラスチックの10%はバイオプラスチックになる予定です。石油の枯渇やゴミ問題、さらに温暖化防止の解決の糸口となるバイオプラスチックの開発は、環境負荷低減の実現に向けたNECの取り組みの一部です。

プロジェクト概要

バイオプラスチック

高機能バイオプラスチック 画像

世界で生産されているプラスチックの量は、年間およそ2億トン。しかし、その50%以上はリサイクルされていません。プラスチックなどの石油系製品によって世界で生産される石油の約20%が消費されており、さらには製造時に温室効果をもたらす炭酸ガス(CO2)を排出するため、地球温暖化の大きな原因にもなっています。

このため、植物由来のバイオプラスチックはこれらの課題を解決できる魔法の新素材のようにとらえられて来ました。1950年代に基本開発されて以来、石油の代わりにトウモロコシやジャガイモなどの再生可能な植物資源から実用的なプラスチックを造ることは、科学者や環境保護家にとって長年の夢でした。

バイオプラスチックには課題がありました。

バイオプラスチックの大半は、コーヒーショップで良く使われるプラスチック・スプーンなどの限られた用途でしか利用されていません。バイオプラスチックは、電子機器や自動車製品に要求される高温や低温のような過酷な環境に耐えられないのです。

しかし企業の社会的責任をポリシーとして掲げるNECでは、電子機器用に独自の高機能バイオプラスチックを開発し、石油系プラスチックの使用量を減らそうという計画を持っていました。この計画が成功すれば、環境保全に貢献しながら、同時に環境対策のコアテクノロジーと、この特許も取得することが可能です。

目標を達成するには、長期的な研究と、それを支える多額の投資が必要ですが、NECはこうした強い思いでこの研究を進めることを決意し、基礎・環境研究所の位地正年主席研究員が提案する新しい高機能バイオプラスチックの技術開発を推進してきました。

3年前、位地はケナフという無害な植物の繊維に着目しました。そして位地の研究チームは、これをバイオプラスチックに工夫して添加すると、携帯電話やPCの筐体の素材として必要な耐熱性や強度が確保できることを発見しました。ケナフは成長速度が速く、しかも地球温暖化の原因となる大気中の二酸化炭素の吸収速度が通常の樹木の3〜9倍です。1ヘクタールの畑に栽培されたケナフは、アマゾンの熱帯雨林1ヘクタールが吸収する2倍から3倍の量の二酸化炭素を吸収するのです。

「ケナフが、こんなに素晴らしい性質を持っているとは、予想外でした。バイオプラスチックに、これだけの耐熱性と強度を与えてくれ、本当に嬉しかったですね」と位地は興奮気味に語ります。

彼を研究に駆り立てていたのは、純粋な科学的興味以上の動機でした。

「私は東京の郊外で育ちましたが、急速な都市化が進み、自然はどんどん姿を消してしまい、悲しい思いをしました。このため、文明が環境に及ぼす影響を和らげるために何かできることはないかと考え、環境と調和できる科学技術、特に化学技術の開発を目指しました。」NECは化学よりもエレクトロニクスのイメージが強いですが、位地がNECで化学者として研究することを選んだのは、企業理念として環境保全を重視し、この技術開発に投資していたからであり、実際に身をもってこれを経験しました。

そしてこのバイオプラスチチックの研究は実を結びました。それが、2006年にNTTドコモから発売された「エコ携帯電話」。この携帯電話筐体に初めて採用したバイオプラスチックは、ケナフ等の植物由来の添加剤を含み、成分の90%がバイオマスです。市場調査の結果、このエコ携帯は特に環境問題に関心の高い消費者に好評を得ています。
NECのバイオプラスチックへの挑戦は続いています。2007年度中には、さらに難燃性を高めたバイオプラスチックがNEC製PCの筐体の素材として採用される予定です。

またNECは、バイオプラスチックの化学構造を変更することで、より高機能の形状記憶性バイオプラスチックの開発にも成功しました。この新材料を用いれば、私たちが自由に変形して身に着けて持ち歩けるような、携帯電話やコンピューターを作ることも可能になります。「ウェアラブル・エレクトロニクスの時代は近いと、私たちは信じています」と位地は語ります。

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