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みなさんも、地面が急にぐらぐらと揺らいで、驚いたことはありませんか。
日本が有数の地震国であること は、よくご存知ですね。その原因は私たちの足の下、地面の土台をつくっているプレートにあるといわれています。
北アメリカ・ユーラシア・フィリピン海・太平洋プレートといった、たくさんのプレートが、ちょうど日本列島の東、太平洋の海底でぶつかり合っています。ここがまさに地震の巣。プレートの境目に沿って摩擦が起こり、ここ にたまる歪みが限界に達すると岩盤が一気にずれを起こし、「直下型」や「海溝型」と呼ばれる大規模な地 震になるというわけです。特に日本近海では、この歪みが蓄積されて、いつ地震が起こっても不思議ではな いところもあるといわれています。そのため、プレート運動の細かい観測が大変重要になってきています。

そこで近年、海底での観測を可能にした海底地震計が設置されるようになりました。その名の通り、海底に 敷設するこの地震計は、プレートの境目、ホットスポットの真上に直接設置することで、より正確に、わずか な動きまでも観測することができます。
海底地震計には、主に3つのタイプ、「自己浮上式」「アンカードブイ式」そして「ケーブル式」があります。
「自己浮上式」は地震計やデータ記録計をカプセルに入れて海底に沈め、一定期間観測した後に浮上さ せ、回収して観測データを得るというもの。設置が簡単で繰り返し使用できるほか、特定地域に集中して投 入することもでき、小回りが利くので研究用としてよく利用されています。ただ、観測データがリアルタイムで ないので防災用には不向きだとされています。
「アンカードブイ式」は海底に設置した地震計と海面のブイを結び、地震計の観測データをブイから電波で通 信衛星・地上局に伝送します。この方式だと、リアルタイムで観測データをキャッチできるのですが、バッテリ ーの交換など頻繁な維持管理が必要となります。
そして常時、観測データを収集できるのが「ケーブル式」です。複数の地震計を光ケーブルでつなぎ、海岸 部に設けた地上局からプレートの境目に向かって100km〜200km沖合まで敷設するタイプです。このタ イプは、プレートの動きを長期間、24時間リアルタイムで監視することができます。さらにこの光ケーブルに は津波計も設置されています。
深さ数千メートルの沖合では津波による海面の変化はせいぜい数センチ程度と言われていますが、津波に よる海面の盛り上がりを0.5ミリという高い精度で観測できます。地震計や津波計が集めた観測データは 光ケーブルで地上局に集められ、電話回線を使って大学の地震研究所や科学技術庁の研究所などに送ら れて解析されます。このデータ伝送には通信衛星も別回線として使われていますので、災害時に強い設計 といえますね。このシステムにより震源位置の決定がより早く、高い精度で行われるとともに、津波に対して も、それが海岸に到着する5分から10分位前に予報することができるようになります。

このように「ケーブル式」は高精度な情報がリアルタイムに得られるので、プレート運動の解明や防災情報シス テムとして、とても役に立っています。現在、三陸沖や相模湾沖など、地震の多い地域の海底7ヶ所に敷設さ れ、浮上式のものやアンカードブイ式のものと合わせて、日夜、地震・津波の監視を行っています。
実はこのシステム、世界で初めて実用化されたものなのだそうです。それもそのはず、ここにはNECの最先端技 術が使われています。海底のシステムですから簡単に故障するようなものでは困りますよね。それに水深3000メートル以上の深海に置かれるため、何百気圧という水圧にも耐えなければなりません。そこで海底地震計や 津波計はベリリウム銅という金属を使った特殊な容器で守られているのです。そして、深海という特別な環境で は故障しても簡単に回収して修理することが出来ないため、使う部品や設計には高い信頼性が要求されます。 また製品は厳しく管理された製造ラインで作られ、高い品質を維持するなど、長期間その機能が最大限発揮さ れるよう、様々な知恵が結集されています。
そしてもう一つ、忘れてはならないのが、海底ケーブルを敷設するための技術。わずかな振動を感知し、長期的 に安定した観測を続けるためには、適した場所に観測機器を設置することが重要です。そのためには、超音波 による反射や、海底の地盤のサンプリング等、いろいろな方法によって海底の地形や地質を予め調査して、最 適なルートや設置ポイントを決めます。そして、まさに海底のそのピンポイントをめがけ、敷設船から数千メートル 下の海底に地震計や光ケーブルを順に設置していきます。しかし、海上には潮の流れやうねりがあり、海底も決 して平らではありません。いわば富士山の上から石を投げて、麓を走る車に当てるようなものです。1ノット以下 という、人の歩くような速さで進む敷設船では、技術者・研究者による付きっきりの作業が夜を徹して行われ、1 00キロメートルを越える道のりを1週間以上かけて、慎重に設置していきます。結果、敷設誤差はわずか2、30 メートル。通信用海底ケーブルの敷設技術がこんなところでも活かされています。
海底地震・津波観測システム、縁の下ならぬ、海の底の力持ち、といったところでしょうか。このように様々な技 術と人の力が目に見えないところで、私たちの暮らしを支えてくれているのですね。
【ご参考】
光ケーブル式海底地震・津波観測システムの設置例などが掲載されている
「東京大学地震研究所」と、海底地震・津波観測システムの詳しい説明や、
観測データの閲覧ができる「海洋科学技術センター」のホームページを
ご参考までにご紹介します。
| 東京大学 地震研究所: | ||
| URL | http://eoc.eri.u-tokyo.ac.jp/eisei_system/sanrikupanf.html (三陸沖光ケーブル式海底地震・津波観測システムの例) |
|
| 海洋科学技術センター: | ||
| URL | http://www.jamstec.go.jp/ | |
上記以外にも、地震・津波関係のホームページはたくさんありますので、 ご興味のある方はアクセスしてみるといいかもしれませんね。
※平成12年9月制作。