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ホーム > ソリューション・サービス > NECの取り組み > ユビキタスネットワークJOURNAL > 飛騨牛・温度管理履歴閲覧(前編)
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食肉業界初の試み、
高度トレーサビリティでさらなる安心・安全を!
〜高機能電子タグによる
飛騨牛の温度管理履歴閲覧実証実験(前編)〜

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NECは、株式会社東芝、横河電機株式会社、NTTコミュニケーションズと共同で、岐阜県畜産研究所、飛騨食肉センター(飛騨ミート農業協同組合連合会)、JAひだグループ、財団法人ソフトピアジャパンの協力のもと、岐阜県高山市において飛騨牛の温度管理履歴閲覧実証実験を行いました。
本実証実験は、総務省が2004年より実施している「電子タグの高度利活用技術に関する研究開発」の一環です。

2007年2月9日から3月5日に実施されたこの実証実験は、飛騨牛の加工場である飛騨食肉センターから販売店に至る過程における飛騨牛の温度管理履歴閲覧を可能にするものです。NECは、IPv6通信機能を持つセンサー付き高機能電子タグを開発すると共に、株式会社東芝、横河電機株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社と共同で、飛騨牛の生産から販売まで切れ目ない一貫した品質管理を可能とする高度トレーサビリティシステムを開発し、実証実験を行いました。

実験の実施フィールドとしてご協力いただいた「飛騨ミート農業協同組合連合会」(以下、JA飛騨ミート)の牛丸部長にお話を伺いました。

より安全で、高品質な食肉を食卓に届けるための食品マネジメント

牛丸 藤彦 氏 飛騨ミート農業協同組合連合会
事業部 部長
牛丸 藤彦 氏

飛騨ミート農業協同組合連合会は、2002年に全国でも有数の衛生的な「飛騨食肉センター」を新築し、HACCP(*)システムやそのガイドラインにより、衛生的な食肉の供給を行ってきました。また、2004年にはISOにより品質マネジメントシステム品質保証のためのISO9001の取得、食品安全のためのISO22000:2005(食品安全マネジメントシステム)の取得、企業理念のためのコンプライアンスの継続的推進により、信頼・改革・貢献を基本姿勢として「安全・安心」な食肉供給体制を確立してきました。

特に、総務省が推進する e!プロジェクトの一環として2004年12月に『「飛騨牛等健康管理・出荷畜産物流通管理」に関する実証実験』が実施されたことを契機に、「飛騨牛」を中心としたより「安全・安心」な食肉の提供と共に、生産工程から流通にいたる、様々なデータを取得することで、衛生基準の維持・向上をより確実かつ効率的に行うことができるようになりました。

食肉の管理の中で、最も重要なのが温度管理です。食品の安全性を確保するためには、微生物の増殖や異物の混入をいかに防ぐかかが鍵となりますが、そのためには食品衛生法で定められている保存温度を10℃以下に保つ必要があります。JA飛騨ミートでは、この管理基準よりもさらに厳しい5度以下での管理を行うことで、品質・保存状態の向上を目指しています。こうした厳しい管理基準の設定の基本には"おいしい食肉を安全に食卓に届けたい"という目的があります。

そこで、今回の実証実験では、「切れ目のない一貫したトレーサビリティ」をテーマに、飛騨牛の処理・加工場である飛騨食肉センターから販売店に至る過程を対象とした、飛騨牛の温度管理履歴を計測する実験を行いました。これまでのトレーサビリティ実験の成果を踏まえ、センサータグを肥育牛や枝肉に付与し温度管理履歴を計測することで、データの自動読み取りや正確な温度測定を可能とし、飛騨牛の生産から販売まで切れ目ない一貫した品質管理を可能にする高度トレーサビリティシステムの実現を目指しました。

肥育牛に対しては、電子タグを投与し、胃に定着させることで、より正確な温度測定を可能にしました。加工後の部分肉に関しては、加工場での保管温度履歴の異常監視、輸送中の保管温度履歴の蓄積、販売店での保管温度の履歴読み取り・蓄積を実現しました。また、これらの情報は、インターネット上に公開されており、消費者は、店頭で購入した牛肉に貼付されているバーコードを携帯で読み取り、Webサイトにアクセスすることで、流通履歴や温度管理履歴を閲覧することができます。(実証実験の技術的な解説は、こちらをご覧ください

※HACCP:1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品の衛生管理の方式。国連の国連食糧農業機関(FAO))と世界保健機構(WHO)の合同機関である食品規格(Codex)委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的基準であり、これまでの食品衛生管理の手法に加え、原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程において、あらかじめ危害を予測し、その危害を防止(予防、消滅、許容レベルまでの減少)するための重要管理点(CCP)を特定して、そのポイントを継続的に監視・記録(モニタリング)し、異常が認められたらすぐに対策を取り解決するので、不良製品の出荷を未然に防ぐことができるシステム。

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フードチェーンすべてに一貫した温度管理がベスト

実際に、システムを運用する中で、興味深かったのは、詳細データが得られることで、従来"勘"や"経験"に頼っていたものが明確に数字情報として分析できるようになった点です。たとえば、枝肉の保管倉庫である冷蔵庫の温度は、庫内の冷凍機の箇所や枝肉を配列する場所、配列の仕方などによって微妙な温度変化をみることができます。このような温度情報の取得によって、より迅速に冷気の通しを変え、適切な温度になるよう調整することも可能になります。

また、トラックによっては、積み降ろしの際のドアの開け閉めの頻度や外気温の影響で、瞬間的に温度が変化してしまうことがあります。実験が行われた2月は、外気温度が低いため、大きな課題にはなりませんでしたが、夏季などの輸送時には、温度を維持できるように運搬車両の仕様を変更したり、積み降ろしの際の配慮などが必要だということが分かりました。こうした電子タグの活用により、温度だけでなく、積み漏れや荷降ろし漏れなども探知可能ですから、より正確な流通体制も整備できるようになります。

さらに、店頭のショーケース内では温度が上がることから、店頭に並べられた時間が分かるなど、流通過程での温度変化や食肉管理の問題点なども、正確に把握することが可能となりました。

消費者の皆さんには、ぜひ食肉を購入される場合は、最低限温度計が置かれている肉屋さんやスーパーで食肉を選んで欲しいのです。というのも、こうした食品管理は、生産から消費者までのフードチェーンにわたって、一貫して行われる必要があります。いくら、出荷時点で厳密な温度管理を行っても、流通過程や消費者の購入後の管理が正しく行われないと意味がありません。そのため、外部の流通業者への徹底はもちろん、最終的には消費者に対する温度管理の重要性を啓蒙するところまで行う必要があるのです。

このようにフードチェーン全体に切れ目のない温度測定を行うことで、従来は経験や感覚でしか把握できなかった事象を視覚的な情報として捉えることが可能となりました。こうした取り組みは、食品の安全確保や厳密な品質管理に大いに役立つと考えています。

今回の実験では、食肉の衛生基準上、高機能電子タグのセンサーを直接肉に密着させることはできず、部分肉は真空包装の上からタグをテープで付着し、枝肉は包装したタグを枝肉の上に置いて計測していたので、食肉表面の温度しか計測できませんでした。食肉内部温度の変化も重要ですから、運用上の課題は残っています。また、センサーから得られた情報を取得するための中継基地の数も限られていましたので、今後さらに広い範囲の地域までカバーすることができれば、冷凍車の移動を高範囲でトラッキングするなど、より現実的な運用を模索することが可能となると考えています。
今回の実験では、NECの先端技術を実際のフィールドで実用化することが重視されたため、より現場に根付いたシステムとして提案してもらえた点が、高く評価できると思います。今後も機器や技術だけでなく、より業界や市場の動向にマッチしたソリューションの提供を期待しています。

牛肉トレーサビリティ実証実験のイメージ図牛肉トレーサビリティ実証実験のイメージ図

ユビキタスセンシングで切れ目のない食品の高度トレーサビリティを実現!
〜高機能電子タグによる飛騨牛の温度管理履歴閲覧実証実験(後編)〜

(2007年8月1日)

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