[NEC Corporation.]
2000年3月30日

日本電気株式会社

鉛電池に匹敵する性能を実現しつつ環境に優しい「プロトンポリマー電池」を世界で初めて開発

[プロトンポリマー電池]
「プロトンポリマー電池」

NECはこのたび、電極にプロトン(水素イオン)交換型導電性ポリマー(プラスチックの一種)を採用することにより、鉛電池に匹敵する性能とコンデンサ並みの使い勝手の良さを実現しながら、有害元素を含まず環境に優しい「プロトンポリマー電池」の開発に世界で初めて成功いたしました。

今後、エネルギー・デバイス事業部で製品化を急ぎ、今年10月をめどにサンプル出荷を開始する計画であります。

今回開発した「プロトンポリマー電池」は、電極を構成する導電性ポリマーの酸化還元反応により水素イオンが移動することを利用して充電・放電を行うもので、以下の特長を有しております。

  1. 鉛電池と比べて約20倍の大電流による急速な充放電が可能。
  2. 鉛電池の20倍、リチウム電池の10倍に相当する1万回を越える充放電サイクル寿命を実現。
  3. 充電回路が不要。
  4. 金属元素やハロゲン系元素を含まないため、環境負荷が小さい。

近年、電波の送受信を非常に短い周期で繰り返す携帯電話、電気自動車や燃料電池車のエネルギー回生用途において、システム・セットとしての性能向上を図るため、鉛電池をはじめとする二次電池が苦手な急速な充放電が得意な新しいデバイスを二次電池と組み合わせる提案がなされております。

このような新デバイスの中で代表的な電気二重層コンデンサは、高速な充放電が可能、充放電可能回数が無制限に近い、環境にやさしい、という優れた特長を有しているものの、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池の100分の1以下となっているエネルギー密度をいかに高めるかが課題となっておりました。

「プロトンポリマー電池」は、この点を解決するために開発されたものであります。

「プロトンポリマー電池」の特長は以下の通りであります。

1.コンデンサ並みの使い勝手の良さ

プロトンポリマー電池において電気エネルギーを媒介する水素イオンは、他の電池のイオンに比べて半径が非常に小さいことから、以下の特長を実現している。

  • 酸化還元反応により電極材料にイオンが出入りしても、電極材料の構造の変化が小さいため、構造変化から生じる電極の劣化が抑えられるため、充放電サイクル寿命が長い。
  • 電解液中の移動速度が速いため、鉛電池比約20倍の大電流充放電(200mAh品:約9Aで10秒)が可能。
  • 急速充電(定格容量充電にわずか5分)が可能。

2.鉛電池並みの高エネルギー密度

酸化還元反応を利用しているため、充放電のために電極材料全体を活用できる。従って、電極の表面のみを使う電気二重層コンデンサに比べて約10倍のエネルギー密度を実現している。

3.環境負荷が小さい

ポリマーは炭素・水素・窒素のみで構成されており、金属やハロゲン系元素を含まないため、環境負荷が小さい。

当面、下記のような使用例を想定しています。

(1) 二次電池では適用困難だったオンボード電源用途(今後、近距離無線通信技術の主流になると想定されるBluetoothなどのRFモジュール用)
(2) 携帯電話の電話番号メモリをはじめとするバックアップ用電池の代替
(3) 鉛電池の代替用途

製品の形状としては、(1) (2)はクレジットカード型の薄型タイプ、(3)は鉛電池形状の箱型タイプを考えております。将来的な市場としては電気自動車、燃料電池車のエネルギー回生用途も視野に入れております。

なお、今回開発した「プロトンポリマー電池」は、4月4〜6日に名古屋大学東山キャンパス(名古屋市千種区不老町)で開催される「電気化学会第67回大会」において4月4日に発表いたします。

以 上



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