NEC(NECソリューションズ)はこのたび、携帯電話のJava機能を活用した企業情報システムの構築を短期間かつ経済的に実現するための基盤技術として、Java対応携帯電話に搭載するクライアント用プログラムのサイズを2KByteまでコンパクト化した「Java対応携帯電話向けORB(Object Request Broker、注1)技術」を新たに開発いたしました。
また同技術は、Webサービスの標準通信プロトコルである「SOAP」(注2)に対応したほか、業界標準の各種通信プロトコルに対応しております。
NECがこのたび開発した「Java対応携帯電話向けORB技術」は、Java対応携帯電話をクライアントとするサービス開発において、業務サーバなどに対するアクセス機能を容易に開発するための基盤技術であります。同技術を活用することにより、既存の業務サーバに変更を加えることなく、携帯電話を活用して外出先でのスケジュール確認・在庫確認・受発注・配送状況確認などが可能となり、業務の効率化や的確かつ迅速な対応による顧客満足度の向上などを実現することが可能となります。
「Java対応携帯電話向けORB技術」の主な特長は以下の通りであります。
- 携帯電話に搭載するクライアント用プログラムのコンパクト化を実現
「Java対応携帯電話用ORB技術」は、クライアント用プログラムを2Kbyteまでコンパクト化し、業務サーバと業界標準の各種プロトコルで通信することを可能とした。これにより、携帯電話のJava機能ではプログラムのサイズが数十Kbyte以下と制限があるなかでも、複数の業務を携帯電話で実行可能とするシステム構築を行なうことができる。
- 「SOAP」をはじめとする業界標準の各種通信プロトコルに対応
Webサービスの標準通信プロトコルである「SOAP」に対応した。また、業務システムに一般的に用いられるオブジェクト通信方式である「RMI over IIOP」(注3)、「JRMP」(注4)、「IIOP」(注5)に対応した。これにより、業務サーバとして、Webサービス、EJB(注6)、RMIサーバ、CORBA(注7)サーバなどでの利用を可能としている。
- セッション維持機能を開発
負荷分散のために複数のサーバで構成されるシステムに対して一連のアクセスを同一のサーバに割り振るためのセッション維持機能に対応した。これにより、多量のアクセスに対応できるスケーラブルなシステムが構築可能になる。
NECでは、「Java対応携帯電話向けORB技術」をアプリケーションサーバ製品「WebOTX」およびモバイルサービス基盤「モアレッシモ」に組み込んで提供する予定であります。提供開始時期は来年春を予定しております。
Java対応携帯電話やPDAなどの携帯端末の高機能化や、FOMA(注8)をはじめとする通信帯域の拡大などにより、モバイル環境を利用した企業情報システムの構築ニーズが高まっております。
NECでは、こうした市場ニーズに応え、Java対応携帯電話をクライアントとする企業情報システムの開発効率を向上し、短期間かつ経済的なシステム構築を実現する技術として、「Java対応携帯電話向けORB技術」を開発いたしました。
NECでは、ブロードバンド&モバイル領域への取り組みに注力しており、本年6月にモバイルソリューション「iBestSolutions/MobileEnterprise」およびその中核製品であるモバイルサービス基盤「モアレッシモ」を発表いたしました。今後もブロードバンド&モバイル領域に対する製品・サービスを順次拡大してまいります。
なお、NECでは、「Java対応携帯電話向けORB技術」を、本年11月28日〜30日にパシフィコ横浜において開催される「JavaOneコンファレンス」、および本年12月5日〜7日に東京ビッグサイトにおいて開催される「iEXPO2001」に出展いたします。
(注1) |
Object Request Broker の略。
分散システム環境でオブジェクト間の通信を行うための機能。
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(注2) |
Simple Object Access Protocolの略。
XMLをベースとしたWebサービス間のデータ交換を実現するプロトコル。
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(注3) |
Remote Method Invocation over Internet Inter-ORB Protocolの略。
Java Enterprise JavaBeans と通信するためのプロトコル。
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(注4) |
Java Remote Method Protocolの略。
Javaプログラム用の分散オブジェクト通信プロトコル。
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(注5) |
Internet Inter-ORB Protocolの略。
OMG (Object Management Group)が策定している規格で、異種システム同士を相互に接続するためのプロトコル。
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(注6) |
Enterprise JavaBeansの略。
Javaで開発したサーバ用ソフトをアプリケーションのコンポーネントとして扱うための規約。
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(注7) |
Common ORB Architecture の略。
分散システム環境でオブジェクト同士がメッセージを交換するための共通仕様。OMGが策定している規格。
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(注8) |
株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:立川敬二)が提供する、IMT-2000(注2)に準拠した世界初の第三世代移動通信サービス。 |
<本件に関するお客様からの問い合わせ先>
NEC インターネット基盤開発本部
電話:(03)5476-1105