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プレスリリース



ナノデバイスを実現する超高解像度電子線レジストを開発

2003年11月21日

日本電気株式会社
株式会社トクヤマ          

NECと株式会社トクヤマはこのたび、線幅8nm、ラインエッジラフネス(注1)1nm以下という高品質な極微細ナノ構造の形成を可能にする電子線露光用の超高解像度レジスト「カリックスアレーン」を開発し、株式会社トクヤマより販売を開始いたしました。

このたび開発した超高解像度レジストは、NECと株式会社トクヤマの高度な化学合成技術により実現した、ベンゼン環をリング状に4個接続した直径0.7nmの低分子量レジスト材料を使用したもので、主な特長は以下の通りです。

(1) レジスト材料の分子量を低減したことにより、8nm幅という世界最高の解像度を実現。
(2) 分子量の低減に加え、結晶化しにくい特性により、ラインエッジラフネスを1nm以下に低減。
(3) 分子の形態が変化しやすいため溶解性が高まり、地球環境・作業環境への負荷が低い安全溶媒を使用可能。
(4) 高純度化プロセスを開発し、金属不純物の濃度を低減したことにより、LSIのプロセスラインへの導入が可能。

このたびの開発により、10nmレベルの微細なパターン形成を必要とする最先端トランジスタや新たなナノデバイスの開発が加速され、将来のユビキタスIT社会を支える高性能LSIの早期実現が可能になります。

近年は、ナノテク研究の活発化により、ナノレベルの微細な構造の形成にも対応できる高解像度レジストへの要求が高まっております。NECでは、これまでにもベンゼン環をリング状に6個接続したカリックス6アレーンレジストを使用して、電子線露光により10〜12nmレベルの微細パターンを形成し、一部のナノスケールデバイスの研究開発に応用してきました。しかし、金属不純物が多く、不純物汚染を嫌うLSIの製造ラインには適さないことや、環境に優しい安全溶媒には溶解しないという課題があり、最先端のLSIの開発には利用できませんでした。

今回開発したクロロメチル化カリックス4アレーンレジストは、これらの課題を克服した超高解像度の電子線露光用ネガ型レジスト(注2)で、高度の化学合成技術により、ベンゼン環4つをリング状に接続した分子を合成し、分子量を下げることにより高解像度化を実現しています。
本レジストは、クロロメチル化(注3)することにより、電子線に対する感度を向上しています。また、分子構造上4アレーンは6アレーンに比べて形態変化しやすいため、分子の結晶化を抑制してレジストライン側面の凹凸の抑制を実現しました。同時に、形態が変化しやすい性質から安全溶媒にも可溶となり、作業環境や地球環境にやさしい溶媒を使用できるようになりました。本レジストを電子線で露光した結果、線幅8nm、ラインエッジラフネス1nm以下という、高品質な超微細パターンの形成に成功しました。さらに金属不純物を除去する高度な精製技術により、低不純物濃度を実現しました。

NECでは、本レジストを用いた微細パターン形成技術(FineNano(TM):)を、微細MOSデバイスのゲートとなるポリシリコンの加工に適用し、線幅10nm、高さ60nm、周期35nmの高アスペクト比のパターン形成にも成功しました。このたびの開発は、従来よりもさらに微細なゲートを必要とする将来のLSI用の極微細トランジスタの試作・評価を可能にするもので、NECでは今後、本成果を活用して、高性能LSIの開発を加速させていきます。また、ナノメートルサイズで起こる現象を利用した新たなナノデバイスの開発にも応用していきます。

本成果の一部は、1991年度から2000年度にかけて行われた通産省産業科学技術研究開発制度の一環としてNEDOから財団法人 新機能素子協会(FED)を通じて委託された「量子化機能素子の研究開発」によるものです。

以上


「FineNano(TM)」はNECの登録商標です。

(注1) ラインエッジラフネス:
レジストの線(ライン)パターンを上面から見たときの側面の凹凸のこと。ラフネスは小さいほどデバイスの性能が向上する。
(注2) ネガ型レジスト:
現像後、レジストの電子線を照射した部分が残るものをネガ型という。その逆はポジ型といわれる。
(注3) クロロメチル化:
分子(ここではカリックスアレン分子)を修飾する基として塩素原子の付いたメチル基で修飾されているもの。電子線などの放射線に対して敏感になり、レジストの感度が向上する。

<本件に関するお客様からの問い合わせ先>

NEC 研究企画部 企画戦略グループ

電話: (044)856-2054(直通)
e-mail: koho@cl.nec.co.jp

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