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独自の量子暗号方式の開発により世界最速の暗号鍵生成レートを実現

2004年09月27日

日本電気株式会社

NEC(代表取締役社長:金杉明信)、情報通信研究機構(NICT、理事長:長尾真)はこのたび、絶対的な安全性を物理法則で保証する量子暗号技術の独自方式を開発し、光ファイバーによる40km伝送で世界最速の暗号鍵生成レートとなる100kbps(従来比10倍)を達成しました。

このたびの成果は、現在継続中のNICTからの委託研究「量子暗号技術の研究開発」プロジェクトにおいて、独立行政法人 科学技術振興機構(JST、理事長:沖村憲樹)創造科学技術推進事業の研究プロジェクト「今井量子計算機構プロジェクト」(総括責任者:今井浩、東京大学大学院情報理工学系研究科教授)でJSTとNECが共同開発した低雑音光子検出器とNEC独自の交互シフト位相変調方式(注1)を用いた量子暗号システムの最適化を図ることで実現したもので、以下の特長を有しています。

(1) 低雑音光子検出器にNECが独自に開発した受光素子を用いると共に、動作温度等の最適化を図り、高速動作の制限要因であるアフターパルス(注2)確率を従来方式に比べて10分の1以下に低減。
(2) 従来システムで使われているファラデーミラー(注3)に変えて、NEC独自方式である交互シフト位相変調方式を用いることで、-5〜+75℃の実用環境温度での安定した鍵生成を実現。
(3) 低雑音光子検出器を空冷、小型化することにより、量子暗号システム装置の小型化・低消費電力化を実現し、実用化へ向けて前進。

本技術は、都市間ネットワークなど、40kmを越える長距離の伝送が必要とされるネットワークでも、従来に比べ安定かつ高速な鍵交換性能を実現できます。(この場合、到達可能な距離、鍵生成速度は、実際に使用する光ファイバーの損失条件などにより異なります)。また、都市内拠点間ネットワークのように、40km以下の比較的短距離のネットワークでは100kbpsを超える、より高速な鍵生成速度も可能となります。

近年、電子商取引・電子投票など、インターネットを利用したサービスの本格化に伴い、企業・個人の情報セキュリティの重要性が増し、ネットワーク上のより高度な暗号技術が求められています。現在、ネットワーク上の情報セキュリティとして世界中で広く利用されている暗号方式は、現存するコンピュータの計算能力に限界があると仮定した上での安全でしかなく、様々な攻撃法の発達やコンピュータの計算能力向上が予想される将来も安全が保証されるというものではありません。こうした背景下で、無限の計算能力を持つコンピュータでも破ることのできない絶対に安全な暗号として、量子暗号の早期の実用化が望まれています。
量子暗号システムは、量子力学で不確定性原理と呼ばれる、単一光子などの極微の世界を支配する自然法則に基づき、単一光子の状態が測定前後で変化することを利用して盗聴を検出します。こうした普遍的な物理法則を利用した量子暗号は、いかなる技術の進歩に対しても無条件安全性を保証する暗号方式として注目されています。

しかし、これまでの量子暗号システムは鍵生成レートの遅さ、鍵生成レートの温度環境に対する不安定さという二つの大きな課題がありました。
暗号鍵生成レートは光子検出器におけるアフターパルスによって制限されるため、アフターパルス確率の低い光子検出器の開発が必要でした。また、量子暗号は1個の光子の位相に情報を載せて伝送するので、量子暗号システムには光の位相安定化技術が求められますが、従来システムでは温度により特性が変化しやすいファラデーミラーを用いていたため、環境温度によって光の位相が変動し、暗号鍵生成レートが変動するという問題がありました。
このたびの開発はこうした課題を克服するもので、実用的な温度環境で安定動作し、伝送性能にも優れた量子暗号システムの実用化に大きく前進するものです。

NEC、NICTはこのたびの成果を活用し、都市圏ネットワークでの量子暗号システムの早期の実用化に向けて、研究開発を一層加速していきます。

 

以上


(注1) 交互シフト位相変調方式
光ファイバループによる折り返しと、光の位相変調による光の偏波面回転を組み合わせることによって、ファラデーミラーと同じ効果を得る方式です。
(注2) アフターパルス
光子検出器において生じる雑音の一つで、動作速度の制限要因です。光子一個一個を検出する光子検出器は、アバランシェフォトダイオードを受光素子として用い、ガイガーモードと呼ばれるパルス電圧印加による、なだれ電流増幅を利用した光子検出法によって光子を検出します。この時、このなだれ電流で生じた電子の一部が受光素子中にトラップされ、次のパルス電圧印加の時間間隔が短いと、光子が来ていないのにも関わらず、このトラップされた電子によってなだれ電流が生じ、光子を誤検出してしまいます。この雑音をアフターパルスと呼びます。パルス電圧の間隔を十分に広げると、トラップされた電子はトラップから放出される為、アフターパルスの影響は無くなります。
(注3) ファラデーミラー
入射した光の偏波面をファラデー効果と呼ぶ磁気光学効果によって+90°回転して反射する光学素子のことです。このファラデー効果を生じる素子には温度依存性(-0.013°/℃)があります。

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>

NEC 研究企画部 企画戦略グループ

https://www.nec.co.jp/r_and_d/ja/cl/contact.html


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