NECは、企業内各個人のパソコン(PC)の資産(内部データやアプリケーション)をサーバに統合・集約し、ネットワーク経由で各人が情報端末機器(クライアント端末)を用いてそれら資産を効率的かつセキュアに利用する「クライアント統合ソリューション」を体系化し、本日から販売活動を開始いたしました。
本ソリューションは、ハードディスク(記憶装置)を搭載しないクライアント端末であるシンクライアント端末と、広く導入されているクライアント端末であるビジネスPCの両方を対象としており、アセスメントからシステム構築、運用まで一気通貫のサービスを提供いたします。また、本ソリューション実現の為に、新たにPC環境を仮想化するミドルウェア製品「VirtualPCCenter」およびシンクライアント端末「TC-Station」、「Express5800/51Lc」二製品を開発いたしました。
これによって、(1)サーバ側にデータを置くことで個人のクライアント端末からのデータ流出を防ぐとともに、(2)各クライアント端末の管理・運用等に関わるTCO(トータル運用コスト)の削減、(3)場所を問わずどのクライアント端末でも自分の業務を継続して行えるモビリティ(移動性)を実現いたします。
本ソリューションを実現する方式としては、(1)業界初のPC環境の仮想化技術によってCPUなどサーバのリソース(資源)を利用者に柔軟に振り分けることで、快適な作業環境と一層のTCO削減を実現する「仮想PC方式」、(2)サーバに格納しているOSとアプリケーションをクライアント端末側にダウンロードしクライアント端末にはデータを残さない「ネットブート方式」(3)サーバ側で処理した結果をクライアント端末の画面に転送することでクライアント端末からのデータ流出を防ぐ「画面転送方式」の三つを用意しております。
本ソリューションでは、お客様のセキュリティポリシーや利用環境及び情報システム環境に応じてこれら三方式とシンクライアント端末ならびに通常のビジネスPCの両方とを組み合わせた最適なシステムを提案することで、幅広いニーズに対応できるようにしております。
本ソリューションを実現するシンクライアントシステム対応のミドルウェア製品ならびにシンクライアント端末の出荷開始時期は次の通りです。
実現方式 |
ミドルウェア製品名 |
出荷時期 |
専用端末製品名 |
出荷時期 |
仮想PC方式 |
VirtualPCCenter |
2005.8末 |
TC-Station |
2005.7末 |
ネットブート方式 |
Ardence(TM) |
2005.6末 |
Express5800/51Lc |
2005.6末 |
画面転送方式 |
MetaFrame(R) |
出荷済み |
TC-Station |
2005.7末 |
100クライアント端末規模のシステム価格(サーバ、ミドルウェア、シンクライアント端末を含む)は2,000万円からです。
尚、NECのブレード(基板型)サーバ「Express5800/BladeServer」の運用管理ソフトウェア「SystemGlobe BladeSystemCenter」とシンクライアントシステム対応ミドルウェアとの連携強化も同時に行います。これによって、システム全体の効率的な運用を実現いたします。
NECでは、従来よりシンクライアントシステムとしてネットブート方式による大学経理事務システム、画面転送方式による金融機関向け顧客情報管理システムおよびIPコンタクトセンターシステムなど、大規模かつ先進的なシステムを含めた多くのシステム構築実績を有しております。今回のソリューションはこのようなSI実績と、Ardence(アーデンス)社、Citrix(シトリックス)社、Sun Microsystems(サン・マイクロシステムズ)社(以下サン)、という戦略パートナーとのアライアンスに基づいて体系化したものです。
本ソリューションの主な特長は次の通りです。
1. |
お客様の業務特性に応じた三つの方式を提供 |
(1) |
仮想PC方式
業界で初めて、サーバに格納した利用者毎のクライアントOSやアプリケーションとCPUや記憶装置などのリソースとを切り離して運用・管理できる仮想化ミドルウェア「VirtualPCCenter」を開発。これによって、利用者の作業負荷に応じて自動的にサーバのリソースを配分することが可能となり、利用者に最適な作業環境やリソースの効率化によるTCOの削減を実現できる。多くの利用者を対象とする大規模利用に適している。 |
(2) |
ネットブート方式
ミドルウェア「Ardence」を用いて、サーバに格納しているOSとアプリケーションを利用者が作業を始めるつどクライアント側にダウンロードする。作業の結果はサーバの記憶装置に書き込むためクライアントからのデータ流出の恐れはない。利用するアプリケーションに制約がないため、設計や出版、IT関連の授業など専用かつ高度なアプリケーションが使用される領域に適している。 |
(3) |
画面転送方式
アプリケーションはサーバ側で実行し、処理した結果をクライアント端末の画面に転送する。クライアント端末側では画面上に表示するだけなのでデータを持ち出されるリスクがない。
アプリケーション及びOS形態に応じて2種類のシステムを提供。 |
・ |
Windows(R)環境でのシンクライアントシステムとして、NECが国内最多規模の販売実績を有するミドルウェア「MetaFrame」を用いた方式。主に、金融、病院、自治体などでの定型的な業務に適している。 |
・ |
Solaris(TM)及びLinux環境でのシンクライアントシステムとして「Sun Ray(TM)」を用いた方式。尚、NECはサンと共同でSIPサーバ 「UNIVERGE SV7000」と「Sun Ray」とを組み合わせた次世代コンタクトセンター向けソリューションを拡販する。 |
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2. |
関連するソリューション・プロダクトを組み合わせたトータルシステムの提供 |
(1) |
セキュリティソリューションとの組み合わせ
情報漏洩対策ミドルウェア「InfoCage」やサイバーアタック対策「CapsSuite」などを含めたセキュリティソリューション体系「iBestSolutions/Security」との組み合わせにより、シンクライアント端末だけでなく、ビジネスPCやサーバを含めたトータルなセキュリティ対策を実施。 |
(2) |
ビジネスPCでのセキュリティ対策機能との組み合わせ
暗号化対策や端末識別を行うセキュリティチップ「TPM」(注)や外部出力防止機能を搭載したビジネスPC「Mate」を活用し、情報漏えい対策を実現。 |
(3) |
リモートアクセス製品との組み合わせ
高度なセキュリティを確保しながら、出張先や自宅など社外で使用するクライアント端末から自部門サーバへの接続を可能にする製品「UNIVEREGE MBシリーズ」との組み合わせで、リモートオフィス環境を実現。 |
本年4月1日の個人情報保護法の全面施行に伴い、企業においてはこれまで以上に情報漏洩対策に取り組む必要が高まってきております。その一方では、情報システムにかかるコストの削減や生産性の向上も同時に求められております。NECではこのような課題を解決するために「クライアント統合ソリューション」を体系化したものであり、セキュリティ強化・TCO削減・モビリティの三つを実現することでお客様の事業に貢献してまいります。
尚、本ソリューションは、ITインフラ環境の統合化・最適化を図る「プラットフォーム最適化ソリューション」の中の一つに位置付けられます。
シンクライアントシステムならびに新シンクライアント端末の概要については別紙をご参照ください。
本発表にあたり、Ardence社、Citrix社、Sun Microsystems社より、以下のコメントをいただいています。
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アーデンス社(Ardence,Inc.)のコメント
アーデンス社はNECのクライアント統合ソリューションの発表ならびにNECのソリューションに我々の製品が活用されることを歓迎いたします。我々の製品『Ardence』はデスクトップコンピュータの機密性と管理性を向上し、コスト削減やオペレーション合理化、ポジビリティ改善を実現します。そして、『Ardence』はタイムワーナー社、ダウコーニング社、米国エネルギー省、数百の大学および学校を始めとする金融機関や通信事業社、コールセンタ、公共機関、教育機関などの様々な業種の全世界数百のお客様に利用いただいております。我々は『Ardence』とNECのソリューションの融合により、お客様によりよいご満足を提供できることを確信いたします。 |
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Ardence, Inc.
VP Enterprise Business Development マーク ヨハイ |
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シトリックス・システムズ・ジャパン(株)のコメント
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は、NECのクライアント統合ソリューションの商品化を歓迎いたします。クライアント環境の統合は、ユビキタス社会を迎えた中でのセキュリティ強化の切り札として、またTCO削減に非常に有効です。弊社のCitrix MetaFrame Presentation Serverは、クライアント環境には情報やデータを残さずに企業の情報アクセスニーズを満たし、企業の生産性を向上します。セキュリティに関する強い要求のある時代の中、究極の情報漏えい対策としても注目されています。NEC様とは日本語化開発においても協業の経緯があるなど緊密なパートナーシップのもと、よりよいインテグレーション開発に一緒に取り組んできており1000社以上の導入実績があります。「UNIVERGE」に続く今回のクライアント統合ソリューションも市場の期待に沿えるものと確信しております。 |
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シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
代表取締役社長 大古 俊輔 |
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サン・マイクロシステムズ(株)(Sun Microsystems,Inc.)のコメント
SUNは、弊社のSunRayを活用した「クライアント統合ソリューション」の発表を歓迎いたします。SUNとNECは先日4月5日に戦略的アライアンス強化を発表しました。その中でも特にSunRayとUNIVERGEを連携したソリューション開発、SIビジネス拡大を共同で展開していく予定です。今回のNECのソリューション販売に対しても強力な支援を行う予定です。 |
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サン・マイクロシステムズ株式会社
代表取締役社長 ダン・ミラー |
(注) |
TPM(Trusted Platform Module)
TCG(Trusted Computing Group)で定義されたセキュリティの仕様(v1.1b)に準拠したセキュリティチップ。 |
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本ソリューションの内容は、5/12〜5/13に開催される「NEC e-Trend Conference 2005」にてご覧いただけます。
詳細は、http://www.nec-seminar.jp/index.php をご覧下さい。 |
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本ソリューションの紹介ホームページ http://www.sw.nec.co.jp/solution/osusume/clsol/ |
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ArdenceはArdence,Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標。 |
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MetaFrameはCitrix Systems,Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標。 |
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Sun、Sun Microsystems、サンのロゴマーク、Solaris、Sun Rayは、米国Sun Microsystems,Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。 |
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Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における登録商標あるいは商標。 |
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その他、表記されている会社名および商品名は各社の商標または登録商標です。 |
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表記されているNECの一部商品は商標登録中であり、商品名が変更することがあります。 |