2006年 3月 7日
日本電気株式会社
NECはこのたび、次世代のスーパーコンピュータ内のLSIチップ間や装置内ボード間の信号のやりとりを光で高速に実現する光インターコネクションの実現に向けて、その光源となる面発光レーザー(注1)を開発し、世界最速となる25Gbps/chの直接変調動作(注2)に成功しました。NECでは、平成17年度より、文部科学省の「将来のスーパーコンピューティングのための要素技術の研究開発」における「超高速コンピュータ用光インターコネクションの研究開発」という研究課題に参画しています。このたびの開発は、その一環として進めてきた超高速・高信頼面発光レーザーの研究開発の成果です。
スーパーコンピュータに用いられるLSIは、2010年頃には20Gbpsを超える伝送速度が必要と予測されています。このたびの面発光レーザーの開発により、従来の面発光レーザー(10Gbps/ch以下)と比べて、2倍以上の伝送速度の光インターコネクションが可能となります。これは特に、次世代のスーパーコンピュータで要求される計算速度のボトルネックとなるCPU-メモリ間のデータ伝送速度問題(20Gbps/ch以上が必要)を解決する手段となり、次世代のスーパーコンピュータの性能の飛躍的な向上に貢献するものと期待しています。このたびの面発光レーザーの特長は、電気-光変換効率を高める材料と構造を採用したこと、および素子の電気抵抗と容量を削減する設計・プロセスを行ったことにより、超高速動作を実現したことにあります。また、用いた結晶材料の特性から、素子の結晶劣化速度を抑えることで、従来の面発光レーザーに比べて高い信頼性が期待できます。
近年、スーパーコンピュータでは、LSIでのデータ処理速度の向上に対し、それらLSIを搭載するボード間あるいはLSIチップ間のデータ伝送速度が追いつかず、性能向上のボトルネックになりつつあります。そこで伝送信号を従来の電気信号から光化することにより、高速、高密度な接続を可能とする光インターコネクションが注目されています。半導体レーザーの一種である面発光レーザーは、低消費電力でかつ高密度実装にすぐれているというメリットがあります。そのため、CPU-メモリ間に高密度で光配線を設置する必要がある次世代のスーパーコンピュータでは大きなメリットになります。
面発光レーザー(VCSEL)は、イーサネット(注3)のような短距離光通信システムの光源として、波長850nm帯の製品が広く普及しています。現在、2.5Gbps以下のシステムが主流ですが、10Gbps伝送も実用域に達しています。しかしながら、これまでの面発光レーザーでは、さらに高速化すると素子の電流密度が増大し、自己発熱により帯域が制限されたり、あるいは、素子内の結晶欠陥が増殖し素子寿命が低下するという課題がありました。今回開発した面発光レーザーは、独自の材料、構造を採用することにより、高い電気-光変換効率を実現し、電流密度上昇を抑制しつつ高速変調動作を可能としたことにより、世界最速の25Gbps/chの直接変調動作を実現したものです。
今後、光インターコネクションの領域は、「光」の特長である高速性及びノイズ耐性が高いこと等により、サーバやPCのみならず、情報家電ネットワークや携帯端末、そして自動車や医療機器の分野にも広く拡大していくと予測されています。今回開発した面発光レーザーはこれらの分野の発展にも大きく寄与していくものです。
なお、このたび開発した本面発光レーザーの特長は、次のとおりです。
| ■ | 超高速変調特性と低消費電流を実現 | |
| ・ | 発振波長/材料 | 1070 nm帯[InGaAs系活性層] (従来:850 nm帯[AlGaAs系]) |
| ・ | 変調速度 | 25 Gbps(従来:~10 Gbps) |
| ・ | しきい値電流 | 0.33 mA@25℃ 、0.58 mA@85℃ |
| ・ | 動作電流 | 7 mA (25Gbps動作時) |
NECでは、このたび開発した技術が世界最高レベルの高密度/高速光伝送 技術の実現につながると考え、今後とも積極的な研究開発活動を続けていきます。
なお、今回の成果につきましては、3月7日から10日まで、米国アナハイムで開催されるOFC2006において3月10日に発表する予定です。
以上
NEC中央研究所 研究企画部 企画戦略グループ
WEBからのお問い合わせ:
https://www.nec.co.jp/r_and_d/ja/cl/contact.html
このページに掲載されているプレスリリースその他の情報は、発表日現在の情報であり、時間の経過または様々な後発事象によって変更される可能性がありますので、あらかじめご了承ください。