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メタルゲート電極とHigh-kゲート絶縁膜を組み合せたトランジスタの信頼性を向上
~低消費電力システムLSIの実用化に目処~

2006年 6月20日
日本電気株式会社

NECはこのたび、メタルゲート電極(注1)の一種である相制御Niフルシリサイド電極(注2)とHigh-Kゲート絶縁膜(注3)を組み合せたトランジスタについて、その電極組成の組み合せを最適化することで、10年以上の長期信頼性確保に世界で初めて目処をつけました。また、微細CMOSを簡単な手法でかつ低コストで製造する技術も開発しました。

このたび開発した技術は、現行世代から45nmノード以降の製品への適用が可能であり、システムLSIの低消費電力性能と高速処理性能を大きく改善することができます。

このたびの開発の概要は以下の通りです。

(1) メタルゲート電極とHigh-kゲート絶縁膜を組み合せたトランジスタの長期信頼性を体系的に評価し、その機構を解明しました。以前に発表した初期特性と同様、長期信頼性の観点からもNiSi(NMOS)とNi3Si(PMOS)の組み合せが優れていることを示し、10年以上の長期信頼性確保に世界で初めて目処をつけました。
(2) 今回提案した微細CMOS製造方法は、簡便な方法でNiシリサイド相を厳密に制御でき、微細CMOS特性のバラツキを改善できます。また、トランジスタの性能を左右する歪を電極の高さ制御によって最適化し、出力電流劣化を抑制しました。

LSIのさらなる高速化・低消費電力化を実現するため、継続的に半導体微細化技術の開発が進められています。従来のトランジスタでは、ゲート絶縁膜にはシリコン酸窒化膜、電極には多結晶シリコン膜が用いられてきました。近年、ゲート絶縁膜の薄膜化によるリーク電流増大及び多結晶シリコンの僅かな表面空乏化に起因する電流駆動力低下を抑制するため、メタルゲート電極とHigh-kゲート絶縁膜を組み合せたトランジスタ技術の開発が世界中で活発に行われています。しかし、ゲート絶縁膜の経年劣化等、製品保証に必要な長期信頼性の報告は少なく、劣化機構も未解明でした。また、このトランジスタを低コストで簡便に製造することが困難でした。

NECではHigh-kゲート絶縁膜に信頼性の優れたHfSiON、ゲート電極にSiプロセスとの整合性の高いNiシリサイドを用いた技術の開発を精力的に進めております。
今回、Niシリサイドゲート電極を適用したトランジスタの長期信頼性を評価した結果、Ni組成の違いにより、大きく寿命が変化する事を見出しました。寿命保証が厳しいPMOSでは、NI組成を増加させることによってゲート絶縁膜を透過する電子のエネルギーが低減し、トランジスタの絶縁破壊寿命が3桁以上延びることを発見いたしました。これにより、P/NMOSともに10年程度の寿命の確保に目処をつけることができました。また、NiSi(NMOS)とNi3Si(PMOS)の組み合わせは、NMOS及びPMOSの性能を最大限に引き出すのに好適な組み合わせでもあり、高性能と長期信頼性を両立できることがわかりました。さらに、ゲート電極の作り方を工夫することにより、微細なNiフルシリサイドゲートトランジスタを低コストで製造することを可能にしました。本製造方法はシリサイドに用いるシリコン層の膜厚を制御性良く行える特徴を有するため、微細CMOSのNiシリサイド相を制御性良く作り分けることが可能となります。また、電極の高さを制御することにより、トランジスタの性能を高める圧縮歪を導入可能としました。以上の技術により、長期信頼性に優れた低電力・高速システムLSIの実用化に目処が立ちました。

本技術を用いれば、今後一層の高性能化が期待される携帯電話やデジタル情報家電機器等に対して、消費電力を抑えつつ高速処理が可能な最先端システムLSIを実現できます。NECでは今後、本技術の早期製品化を目指して研究開発を 推進し、ユビキタス社会の進展を担っていきます。

以上

(注1)
メタルゲート電極とは、金属もしくは金属的な導電性を持つ化合物を用いたゲート電極のことである。現在のLSIのゲート電極には不純物を添加した多結晶シリコンが用いられているが、この材料は半導体であるためゲート電極表面が僅かに空乏化し、トランジスタの電流駆動力を低下させる原因となる。メタルゲートを用いればこのゲート空乏化をなくすことが可能であるため、将来の高性能LSIに必須の技術と考えられている。
(注2)
シリサイドゲート電極を形成する方法。ゲート電極として金属を堆積する代わりに、多結晶シリコンを堆積・加工した後に、上部から金属を拡散させてゲート絶縁膜界面まで全領域でシリサイド化反応を起こさせる製法。他のメタルゲート技術に比較して、既存のLSI製造工程との親和性が非常に高いことが特徴。なお、相制御はシリサイドの結晶相をシリサイド化反応時の金属量や反応温度等によって変える技術である。NECはHfSiONゲート絶縁膜上のNiシリサイド結晶層を制御することにより、閾値電圧を幅広く制御できることを実証しています。
(注3)
High-Kゲート絶縁膜とは、シリコン酸化膜より誘電率の高い絶縁膜であり、高誘電率ゲート絶縁膜とも言う。誘電率が高い絶縁膜を用いることで、リーク電流の小さい厚い絶縁膜厚(物理膜厚)で、薄い酸化膜と同等の電気的換算膜厚が実現可能。NECは信頼性に優れたHfSiON膜を中心に開発しています。

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 研究企画部 企画戦略グループ
https://www.nec.co.jp/r_and_d/ja/cl/contact.html


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