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Japan

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携帯機器で快適なハンズフリー通話を可能にするエコー消去技術を開発

2006年 9月29日
日本電気株式会社

NECはこのたび、携帯機器に搭載されているスピーカで快適なハンズフリー通話を可能にする非線形音響エコーキャンセラを世界で初めて開発しました。

非線形エコーとは、一般にスピーカの歪みや筐体を伝わる振動などが原因で発生するエコーのことを指し、マイクロフォンに漏れ込んで送話信号を妨害します。非線形エコーは、そのエコー量をスピーカの再生信号から予測することが難しく、推定に莫大な計算量が必要とされています。

このたび開発した非線形音響エコーキャンセラは、非線形エコーの推定にかかる計算量を大幅に低減することで、エコー量の推定から除去までを実現可能にしたもので、以下の技術により構成されます。

(1) 線形エコーが大きい時は非線形エコーも大きくなるという、非線形残留エコーと線形擬似エコー間の相関の発見、
(2) 前記相関に基づく非線形エコー抑圧量推定方式の開発(注1)、
(3) 背景雑音量による最大抑圧量制限(注2)、

このたびの開発により、大口径のスピーカを用いることなく、快適なハンズフリー通話が実現できるようになります。この結果、PCや携帯電話などのスピーカを変更することなく、また、今後益々小型、薄型化する携帯機器のハンズフリー通話時の音質を向上できます。

近年、企業における遠隔会議、PC上の各種メッセンジャーなどを用いたVoIP電話、携帯電話によるテレビ電話などの普及や、運転中の携帯電話利用の法的な禁止により、ヘッドセットやハンドセットを用いないハンズフリー通話の需要が激増しています。現在、これらのハンズフリー通話には、一般的には線形適応フィルタに基づく線形エコーキャンセラが用いられています。しかし、この技術は、スピーカの非線形特性やスピーカとマイクが固定された筐体などを伝搬する振動によって生じる非線形エコーが残留するため、非線形エコーの消去を図ることが課題となっていました。
この非線形エコーを消去することで、従来の線形エコーキャンセラと比べて60%強エコーを低減できるという報告もあります(注3)。非線形適応フィルタやニューラルネットワーク(擬似神経回路網)によって非線形エコーを消去する手法も開発されていますが、線形エコーキャンセラの10倍以上に達する莫大な演算量が必要となり、現実的な解決にはなりません。そのため、少ない演算量で非線形エコーを消去できる技術の開発が求められていました。

このたびの開発は、こうした課題を克服し、少ない演算量で非線形エコーの消去を可能とするものです。本技術を用いることで、PCや携帯電話に搭載されているスピーカで、高音質テレビ会議システムと同等の音質を実現することが可能です。

NECでは、今回の開発が、PC・ソフトフォン・VoIPハンドセット・携帯電話など様々な機器での快適な双方向ハンズフリー通話の実現に貢献すると考え、今後、早期の実用化を目指して研究開発を加速していく計画です。

以上

(注1)
従来の線形エコーキャンセラでは、擬似線形エコーを適応フィルタで生成しているので、これを用いると非線形エコー量を推定できる。分解した多数の周波数成分に対して独立に、推定値が大きいときは抑圧を強く、小さいときは弱くすることで、送話信号の歪を小さく保ったまま、非線形エコーを十分に抑圧することができる。
(注2)
エコーを背景雑音より小さくなるくらい過剰に抑圧すると、背景雑音と残留エコーのレベルが異なるために、信号レベルが変動して音質劣化につながる。これを防ぐために、背景雑音レベル以下には抑圧しないように制限を設けた。
(注3)
N. birkett and R. Goubran, "Nonlinear echo cancellation using a partial adaptive time delay neural network," IEEE International Conference on Neural Networks and Signal Processing," pp.249-258, Aug. 1995. 非線形エコーを5dB削減できるとの記述がある。5dBを倍率でいうと、10^(-0.5)=32%。

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 研究企画部 企画戦略グループ
http://www.sw.nec.co.jp/contact/


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