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Japan

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微細銅配線の低抵抗化を実現する新配線材料技術を開発

2007年 6月 4日
日本電気株式会社

NECはこのたび、最先端LSIデバイスの微細化による細線効果で銅(Cu)配線抵抗が急増するという技術課題を克服するため、その本質的な要因である配線中の界面電子散乱を抑制することでCu配線の低抵抗化を実現する新しい配線材料技術を開発しました。

このたびの開発は、結晶配列を制御したルテニウム(Ru)でCu配線を被覆してCu結晶の高品位化を図ることで、配線内に流れる電子の界面散乱を抑制するものです。特殊な極低温測定(-253℃)により、界面電子散乱の抑制による低抵抗化現象を世界に先駆けて実証しました。

最先端LSI配線には、微細化による配線間寄生容量の増大と配線抵抗の増大という2つの大きな課題があります。前者の配線間寄生容量の増大に対しては多孔質Low-k絶縁膜を導入することで解決の目処が立っています。一方、後者の配線抵抗の増大に対しては有効な解決策が見出されていませんでした。今回の開発は、細線効果によるCu配線抵抗の増大を本質的に解決するもので、低抵抗化が必要な超高周波信号を取り扱う高帯域無線携帯端末や高速・大容量サーバーなどのユビキタス対応機器の高性能・低電力化を可能とするものです。

このたび開発した新配線材料技術の特長は以下の通りです。

(1) 結晶配列を制御しながらRu界面保護膜を成長する高真空スパッタプロセスと、このRu界面保護層上にCu膜を成長する直接電解メッキCu成長プロセスを開発。
(2) これにより、LSI内のCu配線の外壁(界面)を、Ruによる界面保護層で被覆した低抵抗な新材料銅配線を実現。
(3) 従来のタンタル(Ta)界面保護層と比較して、Cu配線と結晶格子の整合性を大幅改善。極低温抵抗測定法により、Ru界面保護膜による界面電子散乱の抑制効果を確認し、低抵抗化を実現。

シリコンLSIデバイスの微細化に伴い、トランジスタ間を接続するCu配線の微細化が進んでいます。LSIの消費電力や処理速度に影響を与える配線抵抗は、配線断面積と配線材料の固有物性値である比抵抗によって決まります。LSIが微細化されると断面積の縮小に比例して配線抵抗は増大しますが、配線幅が数百ナノメートル以下まで微細化されると、細線効果によって抵抗自体が増大し、配線抵抗が急増するという現象が顕在化してきました。この現象は、微細化によってCu配線の単位体積に対する界面(表面積)の割合が増大し、界面部で電子の流れが散乱されて配線抵抗が増大するために起こるものです。こうした微細配線の比抵抗低減には、界面部でのCu結晶の乱れをなくして電子の散乱を可能な限り少なくする必要があります。
現在は、Cu配線は層間絶縁膜へのCu拡散を防止するためのTaとTaN(タンタルナイトライド)からなる積層バリアメタルで被覆されるという構造が一般的に採用されています。この場合、Ta膜とCu膜とが接触した界面層が形成されていますが、Taには優れたCu拡散耐性があるものの、Cuとの間には約18%の結晶格子の不整合があります。このため、界面付近の銅の格子配列が乱れて電子が散乱され、その結果配線抵抗が増大してしまうといった課題がありました。すなわち、微細配線に流れる電子の散乱を抑制して低抵抗化するには、Cu結晶との整合性がより高い材料を界面保護層に採用する必要がありました。

今回、NECは、特定の方向に結晶を配列させたRuを界面保護層として用いることで、Cu結晶との格子不整合性を6%まで低減した「低電子散乱配線」の開発に成功しました。このたびの成果は、高真空スパッタ法によりRu結晶をRu原子が最も高い密度で配列した最密充填結晶面に配向させるプロセスを開発し、さらに、Ruの化学的な安定性を利用して、Ru界面保護層上への直接電解メッキ法によりCu膜を成長することで、低コストプロセスを実現しました。()
新材料Cu配線の比抵抗を極低温で測定したところ、従来のTa/Cu配線と比較して、界面近傍の金属結晶格子の乱れに起因した電子散乱による残留抵抗が12%低減していることを実験により証明することができました。これは、金属原子の熱振動を無視できる極低温まで冷却すると、界面近傍の金属結晶格子の乱れに起因した電子散乱による残留抵抗が顕在化してくる原理を利用したことによります。

NECでは、結晶配列を制御したRu界面保護層を用いたCu配線モジュール技術が、微細化の進む最先端ULSIに必要不可欠ものであると考えており、早期の実用化を目指して、今後とも積極的な研究開発活動を展開する予定です。

NECは今回の成果を、6月4日から6日まで、米国サンフランシスコで開催される「インターナショナル・インターコネクト・テクノロジー・コンファレンス(IITC)」で発表します。

以上

(注)
従来のCu配線には、Taバリア膜上にスパッタ法による薄膜Cuシード膜を形成し、その後、電界メッキ法により厚膜Cu層を形成するという方法が一般的に採用されています。低抵抗のRu界面保護層を採用することで、Cuシード層の形成を不要にしました。また、直接電解メッキには、従来使われていた設備をそのまま採用することが可能です。

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 研究企画部 企画戦略グループ
http://www.nec.co.jp/contact/


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