国立天文台からスーパーコンピュータシステムを受注

2007年11月 9日
日本電気株式会社
クレイ・ジャパン・インク

日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:矢野薫、以下、NEC)とクレイ・ジャパン・インク(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 中野守、以下 クレイ)はこのたび、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台(東京都三鷹市 台長:観山正見、以下、国立天文台)から、NEC製ベクトル型スーパーコンピュータ 「SX-9」とクレイ社製のスカラ型スーパーコンピュータ「Cray XT4」で構成されるスーパーコンピュータシステムを受注致しました。

国立天文台は、2001年よりスーパーコンピュータを世界最高性能の天文学専用のシミュレーションシステムとして共同利用する形で研究者に提供し、理論天文学(*)において世界的な成果をあげてきました。今回受注したシステムは、NECの「SX-9」 2ノード(合計20CPU、システム最大ベクトル性能:2.0テラフロップス(テラフロップス:1秒間に1兆回の浮動小数点演算能力)とクレイ社の「Cray XT4」(システム最大性能:26テラフロップス)で構成され、 スーパーコンピュータの中に宇宙を再現し、コンピュータシミュレーションにより銀河形成における過程を解明する研究目的に活用されるものです。同国立天文台の三鷹キャンパスに設置され、理論天文学などのシミュレーションシステムとして活用される予定であります。

今回、NECが国立天文台から初めて受注したベクトル型スーパーコンピュータ「SX-9」は、本年10月25日に全世界で同時に製品発表致しましたSXシリーズの最新機種です。「SX-9」は、世界で初めてCPU単一コア 100ギガフロップス(ギガフロップス:1秒間に10億回の浮動小数点演算能力)を超えるCPUを搭載し、最大ベクトル性能839テラフロップスを誇る世界最高速のベクトル型スーパーコンピュータです。

また、スカラ型スーパーコンピュータ「Cray XT4」は本年9月10日に米国Advanced Micro Devices Inc.(本社:米カリフォルニア州サニーベール、会長兼CEO:ヘクター・ルイズ 以下、AMD)より発表された、最新のクアッドコア AMD Opteron(TM) プロセッサ を740CPU搭載し、理論ピーク性能は約26テラフロップスになります。クアッドコア AMD Opteron(TM) プロセッサを搭載した大型スーパーコンピュータシステムは国内で初の受注となります。

「Cray XT4」はこれまでデュアルコアプロセッサを搭載していましたが、浮動小数点演算性能を飛躍的に向上させた最新のクアッドコア AMD Opteron プロセッサ(TM)の採用によりシステムレベルで従来比3-4倍の性能向上を提供します。
今回の受注において、NECのSX-9の高い実効性能とクレイ社のXT4の並列実行性能が評価されたものと考えております。

国立天文台 天文シミュレーションプロジェクト プロジェクト長 牧野 淳一郎様は「天文現象では空間・時間スケールの巨大さのために超高速なスーパーコンピュータによるシミュレーションが観測とともに初期宇宙や銀河、星の形成と進化、さらにブラックホールの形成といった現象を理解するための必須のツールとなっています。今回、 NEC の強力な共有メモリベクトルプロセッサとクレイ社 の大規模スカラ並列マシンを導入したことで、これまでの 50倍の計算能力を日本における天文学研究に利用できるようになったことは大きな喜びです。」と述べています。

NEC HPC販売推進本部長の笹倉 孝之は、「今回、国立天文台様より初めてNECのスーパーコンピュータを受注させて頂き大変光栄に思います。国立天文台様の評価プログラムにおいて、SX-9の超高速なベクトル演算機能と大規模な共有メモリをフルに発揮することにより非常に高い実効性能を達成出来たことが高く評価されたものと考えております。NECは、今後も最先端研究開発などの大規模シミュレーション分野でスーパーコンピュータシステムSX-9を提供して参ります。」と述べています。

クレイ・ジャパン・インク代表取締役社長 中野守は、「今回Cray XT4がスーパコンピュータ リソースとして選択された事を光栄に思います。最先端の研究活動における計算要求に答える強力なスーパーコンピューティング能力と機能を認めて頂き感謝いたします。これにより、欧米ならず日本国内においてもCray XT4が広く利用される事を期待しております。」と述べています。

以上

* 理論天文学

天文学は、天文現象へのアプローチの仕方によって大きく、観測天文学と理論天文学に分かれる。観測天文学は、天体の現象を観測し、膨大なデータを収集するのに対し、理論天文学では、それらの現象を説明するモデルや理論、原理などを発見したり、作り出す。

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