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ホーム > ニュース > プレスリリース > システムLSIに適した微細化が容易な高速MRAM技術を開発

システムLSIに適した微細化が容易な高速MRAM技術を開発 ~世界初の垂直磁化によるスピントルク磁壁移動方式で実現~

2009年6月17日
日本電気株式会社
NECエレクトロニクス株式会社

MRAMアレイおよびセル断面の写真

MRAMアレイおよびセル断面の写真

NECとNECエレクトロニクスはこのたび、世界で初めて、磁性体に対して垂直な磁力をもつ垂直磁化を用いた磁壁移動方式(注1)の高速MRAM(Magnetic Random Access Memory)セルを開発し、動作実証に成功しました。本セルは、垂直磁化を用いることで、スピントルク(注2)による磁壁移動書き込み(注3)を低電流で実現できることから、セルの微細化が容易で、次世代のシステムLSIへの組み込みに適したものです。

NECは従来より、MRAMの高速性に着目し、システムLSIに組み込むためのメモリマクロ(注4)用に高速MRAM技術を開発してまいりました。しかしながら、従来の電流磁場書き込み方式(注5)のメモリセルは、プロセス最小線幅55ナノメートル以降の世代になると、書き込み電流の増大によりセルサイズを小さくすることが困難でした。
このたび開発したスピントルク磁壁移動書き込み方式のMRAMでは、垂直磁化方式の採用により、55ナノメートル世代以降の微細セルにおいて書き込み電流の低減が可能となり、NECの高速MRAM技術が大容量化にも応用できる見通しが得られました。

このたび開発した「スピントルクを利用した垂直磁化磁壁移動方式のMRAMセル(垂直磁壁セル)」の主な特長は、以下の通りです。

  1. スピントルクは磁性体の断面積あたりの電流でその大きさが決まるため、微細化するほど書き込み電流が低減し、かつ、書き込み速度が高速化する優れたスケーリング性を実現。

  2. 書込み電流値とデータ保持特性の関係がほとんどない磁壁素子の性質により、従来のスピン注入MRAM(注6)では困難であった、書き込み電流低減とデータ保持耐性向上とを両立。

  3. 磁壁素子は3端子素子であるため、読み出し電流経路と書き込み電流経路を分離しメモリアレイとしての高速化が容易な、2個のトランジスタと1個のMTJ(注7)からなるメモリセル構成に適応。

システムLSIの微細化、大規模化の進展により消費電力は増大してきています。消費電力を低減するためには、電源を切って待機状態にすることが有効で、使いやすい不揮発メモリの実現が望まれています。
この要求に答えるために、NECはシステムLSIに組み込みやすいMRAMの開発を進め、2007年11月には250MHzの高速動作が可能な1メガビットのMRAMマクロを、2009年2月にはこのメモリセル技術を使ってMRAMとしては世界最大の32メガビットのMRAMマクロを開発してまいりました。
これらのMRAMマクロに使用されている2個のトランジスタと1個のMTJ(2T1MTJ)で構成されるメモリセルは、書き込み線がセルごとに分離しているため書き込み時の他のセルへの誤書き込みの問題がありません。
さらに、読み出し電流経路と書き込み電流経路が分離しているために、読み出し時の誤書き込みに代表される誤動作が起こりにくいセルです。これらの誤動作に強いという特長は周辺回路の簡素化と高速化を容易にし、システムLSIに組み込みやすいMRAMを実現することができます。NECでは、この2T1MTJセルに適した3端子の磁性体素子の開発を進めてきております。
今回新たに開発した磁性体素子は、この3端子の磁性体素子を実現するためにNECが開発を進めてきた、スピン偏極電流(注8)により磁壁を移動することによって磁化のスイッチングを行う新しいスピントロニクス(注9)の応用技術です。

このたびの実証実験の成功は、将来、半導体の微細化が進んでも、NECの高速MRAMセルが適用できることを示すもので、システムLSI上のメモリをMRAMに置き換えた際の応用範囲を大きく広げたものです。NECは今後、大容量MRAMをシステムの中に組みこんだ形での動作検証を目指してさらに設計・試作を重ねていきます。

本成果の一部は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。

なお、NECは今回の成果を、6月15日から18日まで、リーガロイヤルホテル京都(京都府・京都市)で開催される学会「2009 Symposium on VLSI Technology (VLSI 2009)」で、6月17日に発表いたします。

以上

注1:磁壁

磁性体中で磁化の方向が異なる領域の境界に形成される、磁化の向きが急峻に変化している領域。

注2:スピントルク

スピンが特定の方向に偏るスピン偏極電流を磁性体に流すと、磁性体のスピンへスピン偏極電流のスピン角運動量が受け渡され、その結果、磁性体の磁化に回転力が生じる。この回転力をスピントルクと呼ぶ。

注3:磁壁移動書き込み方式

磁性体を通過した電子はスピンの向きが揃う。この電子を磁壁(反転する磁気の間にある空間)に注入すると、スピントルクにより磁壁の磁化の向きが電子のスピンの向きに揃おうとするために、磁壁が電子の方向に移動する(磁壁移動)。この磁壁移動により磁化を反転させる方式をMRAMの書き込みに用いることができる。NECは2007年に、京都大学および電気通信大学との共同研究で、垂直磁化を用いた微細化に好適なスピントルク磁壁移動書き込み技術を開発した。

注4:メモリマクロ

SRAM、DRAM、MRAMなどのメモリをシステムLSI内に組み込む際の機能ブロックをいう。

注5:電流磁場書き込み方式

現在、実用化されているMRAMに使われている書き込み方式。配線を流れる電流の向きに対応して発生する磁場の向きに、セルの記録部磁性体の磁化の向きを揃えることで書き込みを行う。磁性体が微細化するに伴って熱安定性が劣化するため、微細化に伴って磁化反転に大きな磁場が必要な安定な磁性体にする必要がある。その結果、書き込みの電流が大きくなるため、スケーリングに課題があるとされている。

注6:スピン注入MRAM

一般的に、MTJの膜面垂直方向に電流を流すことでスピントルク書き込みを行うMRAM。スピンRAMともいう。

注7:MTJ

Magnetic Tunneling Junction。トンネルバリア膜を介して対向する2枚の磁性膜からなるトンネル磁気抵抗効果を有する積層構造体。

注8:スピン偏極電流

電子のスピンがある方向に揃った電流。

注9:スピントロニクス

固体中の電子の電荷とスピンの両方を工学的に応用する分野。スピンとエレクトロニクスから生まれた造語。これまでのエレクトロニクスでは電荷の自由度のみが利用されてきたが、スピンの自由度も利用することで、これまでのエレクトロニクスでは実現できなかった機能や性能を持つデバイスを実現する。

本件に関するお客様からのお問い合わせ先

NEC 知的資産R&D企画本部 広報グループ
URL: 新しいウィンドウを開きます。http://www.nec.co.jp/contact/

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