平成11年8月26日 | |||||
日本電気株式会社 | |||||
人の声や顔を識別し、話しかけるだけで命令を実行するパーソナルロボットの開発について
〜 多様なシステムとの連動も可能 〜
NECはこのたび、聴覚や視覚を有し、家庭で人と過ごしながら、人のパートナーになることのできるパーソナルロボット「R100」(開発コードネーム)の開発に成功いたしました。 このロボットは、多様な機器とのインターフェース機能や、人と人とのコミュニケーションをサポートする機能を実現する、「ボタンの無い」将来の家庭用コンピュータの一形態として開発されたものであります。 今回の開発は、(1)両目に埋め込まれたカメラから得られた映像をリアルタイムに解析することにより、障害物を避けながら移動したり、人物を発見・識別することができる画像認識技術、(2)内蔵された3つのマイクへの入力音声を解析することにより、声をかけられた方向を検出したり、言葉を理解することができる音声認識技術、(3)4つのモータとモジュール化された制御回路というシンプルな構成で、各種動作を可能にしたメカトロニクス技術、(4)インターネット通信機能を組み込み、それにロボットの持つ視覚・聴覚などのマルチメディア機能とを組み合わせることにより、ロボットと対話しながら自然に伝言を託したりビデオメールの送受信をすることができる情報通信技術、などの統合により実現できたものであります。 これにより、人を見つけたら近付いて話しかけたり、呼びかけたら振り向いたり、顔を憶えることができ、相手に応じた反応をすることができます。また、話しかけるだけで、色々な命令を認識・実行します。具体的には、(1)テレビやエアコン、スタンドなどのスイッチを ON/OFFさせること、(2)伝言を託し、その相手に出会ったときに伝えさせること、(3)インターネットに接続し、各種処理を行うこと、などが可能となります。 これらの技術を応用し、「R100」をインターフェースとして利用すると、将来的には、(1)ホーム・オートメーションシステムと連動し、同システムをテレコントロールすることで、安全対策の支援、高齢者の見守り、緊急用の通報システム、留守家庭のセキュリティを行うこと、(2)インターネットや各種ソフトを通じた子供の知育ツールとしての用途や、より簡単に情報機器に親しみ、活用すること、(3)高齢者を対象とした遠隔医療や、障害者のケアシステムとの連携、などの広がりが期待できます。 また「R100」は、画像認識部、音声認識部、センサ部、行動決定部、感情モデル、記憶、メカ制御部、動作パターンライブラリなどがそれぞれソフトウェア的に独立した部品(モジュール)として構成されていますので、今回実現した機能だけではなく、センサや行動バリエーションの変更・追加を容易に行うことができる拡張性を持っています。 近年、コンピュータや通信機器における技術革新のスピードは、人々の理解のスピードを越えて発展しており、新しい便利な機器が次々と登場するものの、同時に操作自体が難しいものも多いのが現状であり、子供からお年寄りまで、誰もが新しいテクノロジーを簡単に使えるようにする技術が求められております。 また、半導体技術やメカトロニクス技術の向上によって、家庭用のロボットが現実的なものになってきたことや、ゆとりのある生活をもたらすために、従来の機能中心のものではなく、個性的なものが求められているなどの理由から、ロボットへの注目が非常に高まっております。 このような状況で、ロボットの開発・製品化が活発に行われておりますが、現在のロボットは、人物や言葉が識別できない、大きく無骨過ぎる、などの問題点があり、市場からは、キャラクタや表情を持ち、人の顔を憶えたり言葉を認識してくれ、一緒に楽しく暮らしていくことのできるロボットへのニーズが強まっております。 NECでは、音声や人の顔が識別でき、人のパートナーになるロボットが、このようなニーズに対する一つの回答なのではないかと考え、研究・開発を進めてきた結果、今回の「R100」の開発に成功したものであります。 NECでは今回の成果が、やさしいインタフェースを持った未来のコンピュータの実現に大きく貢献できると考えているため、今後も研究・開発を継続していく計画であります。 なお、NECでは「R100」の詳細を、パーソナルロボットのページ(http://www.incx.nec.co.jp/robot/)にて詳しく紹介・掲載しております。 「R100」の機能の詳細は別紙をご参照下さい。 以 上 |